ピーター・ガブリエルの最盛期のトラックをCD2枚に厳選したこのコンピレーション盤は、これまで唯一のベスト盤だった前作、1990年の『Shaking the Tree』を曲数の面ではるかに上回っている。なんと言っても本作の魅力はその細部にある。
ディスク2(「Miss」という控え目なタイトルが付けられている)では、アーティストとして世界的な視点を持つガブリエルの全貌をとらえている。そして最近のサントラ盤(『Rabbit Proof Fence』の忘れがたい「Cloudless」)をはじめ、2002年の優れたアルバム『Up』の収録曲(故ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンの感動的なヴォーカルと不気味なストリングスのアレンジをフィーチャーした「Signal To Noise」はまさに、考える人のための音楽であるマッシヴ・アタックのようだ)や、あの4作目などをたどっている。4作目で聴けるシンセサイザーを用いた冷たく控え目なニューウェーヴと、執拗なアフリカのパーカッションを結びつけたサウンドは、(当時)優れたアイディアに思われた。
ディスク1に収録されているのは、MTVで大ヒットした「Sledghammer」、反アパルトヘイト闘争の叫び「Biko」、「Big Time」(ガブリエルと、彼が以前所属したジェネシスのスタイルがこの時点で同じ方向に向かっていたのは興味深い)、「Games Without Frontiers」といったトラックだ。聴けばおわかりのとおり、今になってみればガブリエルのレコードをシングルだけそろえていたリスナーは、彼のほんの一端しか味わっていなかったように思える。どこをとってもすばらしいこのコレクションの価値をさらに高めているのが、3つの未発表トラックだ。「Downside Up」のライヴテイク、「Blood of Eden」の短めのヴァージョン、それに『Up』に収録予定だったが最終的に外され、のちにTVゲームに収録された「Burn You Up, Burn You Down」の3曲だ。
ディスク:1 |
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1. Solsbury Hill |
2. Shock The Monkey |
3. Sledgehammer |
4. Don't Give Up |
5. Games Without Frontiers |
6. Big Time |
7. Burn You Up, Burn You Down |
8. Growing Up (Tom Lord-Alge Remix) |
9. Digging In The Dirt |
10. Blood Of Eden (Radio Edit) |
11. More Than This (Radio Edit) |
12. Biko |
13. Steam |
14. Red Rain |
15. Here Comes The Flood |
ディスク:2 |
1. San Jacinto |
2. No Self-Control |
3. Cloudless |
4. The Rhythm Of The Heat |
5. I Have The Touch (Remix) |
6. I Grieve |
7. D.I.Y. |
8. A Different Drum |
9. The Drop |
10. The Tower That Ate People (Radio Edit Mix) |
11. Lovetown |
12. Father, Son |
13. Signal To Noise |
14. Downside Up (Live) |
15. Washing Of The Water |
単純なベスト盤としてみるとShaking the Tree: Sixteen Golden Greatsのほうが上出来なのだろうが、この二枚組はSo以降の曲やサントラなどの曲も収録されていたりと資料的にはこちらのほうが面白い。
音質もリマスターされたってほどではないにしても旧作に比べると音圧も上がってこれまた良い感じ。
ピーター・ガブリエルのファンに限り★★★★
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